読書の王道スタイルは外せない、あとう(@ato_ganai)です。
純文学の最高峰である芥川賞。
受賞作品すべてではありませんが、今回は新しい年代順に並べてみました。
個人書評ですので気軽にお読みくださいませ。
なお、お忙しいかたは目次から気になる書籍名にジャンプ可能です。
- あらすじはひと言サイズ(メモ欄)にまとめています。
- 本のサイズは単行本から文庫本まで(電子書籍含む)
- 星(★)の多さで個人レビュー(1点~5点満点)
芥川賞とは新人作家の短編から中編の最高傑作
芥川賞とは新人作家の中で、最高峰な作品に贈られる賞です。
賞の選考基準は以下のとおりです。
新進作家による純文学の中・短編作品のなかから、最も優秀な作品に贈られる賞
(引用元:日本文学振興会公式HP『各賞紹介』より)
芥川賞と直木賞の違いをざっくり分類すると以下の通りです。
- 芥川賞は純文学の中短編
- 直木賞はエンタメ中心の長編作品
読みやすさは作品や個人の価値観によって異なりますm(__)m
以下に、芥川賞作品を最新順にまとめます。
『彼岸花が咲く島』李琴峰
読みやすさ | ★(1) |
---|---|
驚き | ★★★(3) |
恐怖 | ★(1) |
感動 | ★★(2) |
出版年 | 2021年 |
電子書籍版 | あり |
島に流れ着いた少女が住人たちとの言語交流を通じて葛藤するファンタジー?
(受賞作品ということで)機械的に手に取ったのが間違えの始まりでした。
芥川賞の作品を読んだことある人は慣れていると思いますが・・・、文体が独特なため正直言って読みにくいです。
(誤解のないように言いますと)自分には本作品が合わなかっただけです。(作者を比較してはいけないのは重々承知ですが)個人的には過去に芥川賞を落選した崔実さんの『ジニのパズル』のほうが好き
Amazonのあらすじも読まなかったので、最初から作品へ没頭しにくい。理由は、本作の言葉のズレ。
序盤に、ひらがなだけの文章や特定の構文だらけで、理解しにくい世界観。ただ、この読みにくさが、むしろ作者の狙いなのかもと途中、途中で気づかされます。
架空の世界を自分が想像できなかっただけに、読了後は読書量が足りないと痛感しました。
ジェンダーや国籍や言語観など、何も疑わない人生を送っている人ほど刺さる内容
時間がある人は、いちど手にとってみて作風が合うor合わないを判断してみるのも良いと想います。
ちなみに『彼岸花が咲く島』はAmazonオーディブル対象本です。
Amazonオーディブル1冊無料の対象本(※11月1日現在)
内容を知りたいけど、読む体力が無い人はAmazonオーディブルを活用する方法もあります。(※無料体験のみも利用可能です。継続しない人は無料期間内の解約をお忘れなく)
(過去に別作品で)オーディブルを利用した体験談は以下です。
『破局』遠野遥
読みやすさ | ★★★★(4) |
---|---|
驚き | ★★(2) |
恐怖 | ★★★★(4) |
感動 | ★(1) |
出版年 | 2020年 |
電子書籍版 | あり |
ラグビー部出身の主人公のキャンパスライフをめぐる物語
恐怖の★星が多くなった作品ですが、ホラーの恐怖ではなく日常のズレの意味合いです。
難解な言葉はほぼなく、『破局』は読みやすいです。
主人公はラグビー部出身で公務員試験を控えてます。
彼女もいて、平凡な学生生活で時折のぞく「○○」。
○○には正義感、狂気、素直さ、過剰など、どの言葉をあてはめれば良いか読了後もわかりません。
作者が「読者にゆだねてる」そんな印象です。
正直、モヤモヤした作品ですが、勧善懲悪ではない芥川賞らしさ?でしょうか。
『ニムロッド』上田岳弘
読みやすさ | ★★★(3) |
---|---|
驚き | ★★★★(4) |
恐怖 | ★★(2) |
感動 | ★★(2) |
出版年 | 2019年 |
電子書籍版 | あり |
仮想通貨を採掘する主人公と、小説家を目指しながらも挫折続きの同僚の荷室、中本の恋人がおりなす、人間とITが交差した物語。
主人公の中本も恋人も、同僚の荷室も豊かな時代にいながら、むなしさを感じて生きているように見え、イマドキの人々なのかと思いました。
中本に送られてくるメールは、中身が深読みできたりと読んでいて面白かったです。
小説の全体の雰囲気は、不思議な空間をさまよっている印象。
『1R1分34秒』町屋良平
読みやすさ | ★★(2) |
---|---|
驚き | ★★(2) |
恐怖 | ★(1) |
感動 | ★★★(3) |
出版年 | 2019年 |
電子書籍版 | あり |
デビュー戦の勝利後、負けが込む21歳ボクサーの日常と心理を描写した1冊
主人公はボクシングに打ち込んでいるけれども、真面目というよりも考えすぎというか・・・。
ボクシングを知らない人が読んだら、読み終わった頃には少し詳しくなります。
簡単な漢字がひらがなで書かれたかと思えば、会話文が「」で閉じられていなかったり、芥川賞の無邪気さ!?がチラホラありますw
青春時代に打ち込めるものがあった人は、いつしか引き込まれている独特な本です。
『送り火』高橋弘希
読みやすさ | ★★★(3) |
---|---|
驚き | ★★(2) |
恐怖 | ★★★★(4) |
感動 | ★★(2) |
出版年 | 2018年 |
電子書籍版 | あり |
都会から東北の片田舎の中学校に転校してきた男子と級友の話
田舎の閉塞感、中学生の男子の暴力性、いじめを傍観する者、虐められている者の感情・・・。
文字表現だけでも恐ろしいのに、リアルの学校に行く意味はあるのだろうかと、ふと考えさせられます。
読者が過去の自分と主人公を照らし合わせたとき、置かれた環境の良し悪しがわかるかもしれません。
『おらおらでひとりいぐも』若竹千佐子
読みやすさ | ★(1) |
---|---|
驚き | ★★(2) |
恐怖 | ★(1) |
感動 | ★★★(3) |
出版年 | 2017年 |
電子書籍版 | あり |
夫を失った女性の孤独でも奮闘する様子をつづった1冊
夫との死別後に襲ってきた孤独とどのように向き合うのか?
何をしても癒えることのなかった傷を労わってくれるのは小説かもしれません。
独りを「ぼっち」独身を「負け組」など、否定的なとらえ方をされがちですが、その概念を本書は問い直します。
作者の若竹千佐子さんは、55歳から小説講座に通いはじめ63歳で芥川賞を受賞された方です。
東北弁と圧倒的な筆力が詰まった小説は、努力のたまもの。
『影裏』沼田真佑
読みやすさ | ★★(2) |
---|---|
驚き | ★★★★(4) |
恐怖 | ★★(2) |
感動 | ★★(2) |
出版年 | 2017年 |
電子書籍版 | あり |
疎遠になった日浅を想う、主人公のゆれ動く気持ちをつづった一冊
釣りの話題、酒と煙草の銘柄など、静かに淡々と書かれています。
つかみどころのない物語を一度で理解するのは、すこし難しいです。
とはいえ登場人物から目を離さなければ、小説の核がぼんやりみえてくるかもしれません。
純文学が苦手な人と好きな人で意見がわかれると思います。
【芥川賞作品はおすすめ】好き嫌い分かれるから楽しい
芥川賞は、実験的な作品が多いです。
新人作家が渾身の熱量で文章をつむぎだしているため、作品の好き嫌いはわかれます。
- 【好き派の意見】
→純文学は文章を味わえる - 【否定派の意見】
→凝った文体が最後までツライ
全員が同じ感想の本は存在しないので、賛否の量は人気の証です。
直木賞や他の受賞作品については、別記事でまとめてあります。
【芥川賞以外】最高傑作のおすすめ本
芥川賞以外で、特にお気に入りの小説たちです。
『砂漠』伊坂幸太郎
『ナイフ』重松清
『ジニのパズル』崔 実
『さまよう刃』東野圭吾
『うわさのベーコン』猫田道子
『夜のピクニック』恩田陸
『4TEEN』石田衣良
『猛スピードで母は』長嶋有
『横道世之介』吉田修一
『TUGUMI』吉本ばなな懐かしい✍️#好きな小説10個あげると人柄がバレる
— あとう@マネーブログ=一人暮らしのお小遣いは自分で (@ato_ganai) December 7, 2019
読書を楽しみましょう~
最後までお読みいただきありがとうございましたm(__)m